人事の生々しい話。

現役人事マンによる、人事に関するあれこれ。採用、教育、評価、配置、人間関係などのトピックを発信するブログ。

勝手に評価が決まる?

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前回、評価についての記事を書きましたが、今回はそれに関連して、評価のフィードバックについて書きたいと思います。

 

フィードバックとは?

そもそもここで言うフィードバックとは、考課結果を上司から部下に伝える場合です。考課期間の行動や成果を根拠に評価結果が伝えられ、因果関係を明らかにするとともに良かった点、頑張らなければならない点を確認し、次の目標につなげていきます。

評価結果はボーナスや昇進にも関わることなので結果自体はもちろん大事なのですが、私はそれよりも次の考課期間にどう繋げるのかがもっと大事だと考えます。

つまり、フィードバックとは改善点を見いだし、かつ成長ポイントが確認でき、そして次の目標を見つける場でもあるのです。

 

評価が勝手に変わる?

部下「あれだけ頑張ったのに、どうして私の評価は△△なんですか!?」

上司「俺は○○という評価だったんだが、考課者会議で調整されて△△という評価に変わったんだよ」

部下「どうして△△なんですか?」

上司「上層部が決めたことだから、根拠は分からん」

 

こんな会話、したことありませんか?

最低なフィードバックですよね。フィードバックの目的が何1つ為されていません。評価の根拠が分からないことにはどう改善したらいいのか分からないし、次にどう繋げたらいいのか分かりません。

 

いや、正直、上司の気持ちも分かるんですよ。

だいたいの上司が自分の部下に良い評価を付けたいだろうし、自信を持ってその評価を付けてると思うんです。

それが、相対的に、あるいはバランス取りのためだけで部下の評価を下げられたとしたら、たまったもんじゃないですよね。

しかし、それでも上司は評価が変わった根拠の説明責任があるのです。それが部下への教育、成長、そして部下の納得性にも関わるのですから。

自分の考えじゃない評価をフィードバックすることはこの上なく難しいことであることは良く分かるのですが、それがマネジメントでもあるのです。

 

理想のフィードバック

ではどんなフィードバックが理想なのか。上記にもありますが、まずは考課期間の行動や成果を上司部下できちんと確認しあうこと。評価の根拠の部分となるので、その認識にギャップがあると後々ギャップだらけになっちゃいます。

 

次に、評価結果を根拠とともにきちんと伝えること。もし考課者会議等で評価が変えられている場合は、まずは、上司が変化の理由を確認すること。上司は納得するまで確認すること。自分が部下に説明しないといけないことなのですから。自分より格下だからといって舐めてフィードバックにかからないでください。

 

最後に、次の成長へのアドバイスをしっかりしてください。部下が成長する瞬間です。極論ですが、部下の今後の会社生活にも関わります。上司として、責任(笑)を持って取り掛かってください。

 

 

人事評価の流れ

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人事評価とは言うまでもなく賃金や昇進等を決める際に重要な人事施策であり、仕事のモチベーション人材育成にも大きく繋がってくる。

 

そんな人事評価ですが、用途は分かるが具体的にどんな流れで決まっているのか分からない…という声をたくさん聞くので簡単に解説したいと思います。

 

会社によってまちまちだとは思いますが、概ね以下の通りです。

 

評価が決定するまでのフロー

超簡単に書きます。

①自己評価

②直属の上司による評価

③考課者会議

④決裁

 

じゃあそれぞれどういうことをやっているのか。以下に解説していきます。

 

自己評価

期初に設定した目標や取り組みに対して、それぞれのプロセスや結果がどうだったか自己評価します。

あれはできた、これはできなかった、そもそも取り組まなかったことなどを踏まえ、自身で評価します。

これは皆さん実施してると思いますので、あまり説明しなくても大丈夫だと思います。

 

直属の上司による評価

皆さんの直属の上司がつける評価です。普段の業務への取り組み姿勢や成果などを踏まえ、評価します。また、面談にて自己評価の根拠を聴き、それを参考にする場合がありますね。

会社によってまちまちですが、絶対評価あるいは相対評価よって評価値がつけられます。

特に後者の場合、上司が受け持つ他の部下とのバランスをみつつ評価する、ということになります。スーパースター軍団に所属しちゃうと辛いです…

 

評価で何か問題が起こるとしたら、このフェーズが多いです。これはまた別の機会に記事にしたいと思います。

 

考課者会議

一言で言うと、部門間の評価バランスを調整する場です。

部署や部門によって評価者が違うわけなので、当然評価の甘辛が出てきちゃいます。ここでは評価の根拠や基準を確認し合い、本当にその評価が適切かを見極めます。

一般的には部門毎に会議が行われ、部門長や役員+人事が参加し、人事主導で調整していきます。

「あの部署ではこんな基準で評価されてましたけど、おたくの部署は評価が辛すぎませんかね」といった感じで進めます。

 

考課者会議の内容、かなり生々しいです…

私も毎回出席するのですが、上の方々の考えがよく分かります。

 

決裁

考課者会議で調整された結果を集計し、決裁をとります。これでようやく皆さんの考課がきまります。

この結果はフィードバック面談等で知ることとなります。

 

 

超簡単ですが、以上が評価が決まるまでの流れでした。

他人の得は自分の損?

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何かを始めるときや何かを止めるときは、その恩恵に与る人(与っていた人)とそうでない人が必ず出てきます。

例えば新たな人事制度を始めるとき。

評価システムを成果主義に変えるとした場合、「成果が見えにくい職種」の人達は正当に評価されない、と感じるかもしれません。

また、昨日書いたキッズウィークのような制度も同様です。独身の方たちは恩恵に与ることができないのでは、と感じると思います。

このように、特定の事柄に対して全員が平等な影響を受けるということは滅多になく、全員を平等にしようとしても大変難しいものなのです。

 

損得は相対的ではない

これに対して、「何であいつだけいい思いしてるんだよ!恩恵を受けられない我々は損じゃないか!」と言う人がいるのです。

 

冷静に考えれば、全く損はしていなく、現状は何も変わっていないはずです。

しかし、そう捉えることができず、ただひたすら「損」と感じてしまうようです。

 

確かに相対的に考えると、得する人が出てくればその分、損する人が出てきそうな気もしますが、制度は相対的なことを別に考えているわけではなく、何かを上げたら何かを下げようなんてことは考えていません。

※厳密にいえば、コスト的な意味でそのバランスを考慮することはあります。

 

じゃあどうして損得を考えてしまうのか

これってもう気持ち的な問題ではないかと思います。

セブンイレブンで700円クジをやっているのご存じでしょうか?総計700円以上の買い物をすると、クジを引けて、あたりが出ればお菓子やドリンク類等がもらえるというやつです。

私はコンビニの中ではセブンイレブンの利用率が圧倒的に高く、700円クジを何枚も引いてきたのですが、前に並んでいる人が当たりを引いて、そのあとの自分がハズレだったら、なんとなく悔しい想いをします。あの人は当たりだったのに・・・と。

通常はクジを引くことができず、完全に+@のキャンペーンで、別途お金を払ってクジを引いたわけではないので、誰も損はしていないはずです。(強いていうなら、お店は損してるのか?)

なんとなくこの気持ちに近いような気がします。

どうせなら得をして良い想いをしたい!と。

 

 

 

 

正直、自分自身にもかなり当てはまってしまうのですが、心の狭さがこんな感情を生み出してしまうのでしょうか・・・

会社でも何らかの規則や制度を構築する場面は多々あるのですが、その度に「どうして私たちには何もないの?不公平じゃないか!損した気分だ!」と言われます。冗談口調ではなく、割と本気で。(ごく一部の、限った人ではありますが)

 

不公平という部分は特に我々は注意しないといけない点なので、最大限に配慮したものをつくろうとは心がけています。できるだけ、みんな平等になるようにと。

しかし、どうしても制度を作り始めた瞬間や移行期はこういったことが起こってしまうと理解していただきたいです。

もちろん、長い目でそれぞれの人はできるだけ良い影響を受けられるものを作っていこうとは思っています。

 

我々としては、できるだけ全従業員ができるだけ恩恵を受けられるように心がけたいです。(そのためには経営と戦わねば・・・!)

 

 

そういえば「他人の不幸は蜜の味」という言葉がありますが、この逆バージョンですね。

「他人の幸福は毒の味」とか(笑)

 

キッズウィーク賛成?反対?

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つい先日、「キッズウィーク」という構想が発表されていましたね。

キッズウィークとは?

学校の夏休みなどの一部の期間を別の時期にずらし、その時期に働く親に対して有給休暇取得を促すことで、親子が一緒に過ごせる期間を生み出そう、とするものです。

つまり、夏休みを短くして、短くした分を他のタイミングで休もうということです。

 

また、これは日本全国で一斉に実行するものではなく、県単位や市単位、あるいは地方自治体などの更に小さな範囲で行うことを想定しているかもしれません。

人によって期間が違うというわけですね。

 

 

 さて、この構想、早速あちこちで良くない反応が出ていますね。そもそも有給をまとめて取得しにくい環境で働いている方や、独身の方などから。

確かに、そもそも別の日程に休みがとれなければ単に子ども夏休みが短くなり、休みの日が分散しただけで、「子どもと親が一緒に過ごす時間」は何も変わりません。

そういう意味で、この制度は良くも悪くもなく、何の効果もないんだろうなと感じます。

まぁ、政府の人間からしたら効果が出なくても、「やったった感」がでるかもしれませんね。

 

会社内のよく分からない指令と一緒です。主旨のよく分からない命令をされて、「それ、意味あんの?」と感じることありませんか?上司がさらにその上司に「やってる感」を出すためだけなんだろうなーと思っています。

 

少し話が逸れましたが、新しい試みを行うのは重要なことであり、もしかしたら良い効果が出る可能性とあるので、悪い影響が発生しないと確信できそうであればやってみる価値があると思います。

「独身はどうすればいいんだ!」という声が聞こえそうですが、別に独身は休んだらだめなんて制度にはならないでしょう。

逆に閑散期に休めるので海外旅行とか安めに行けるんじゃないですか?

 

ただ、人事的にいうと、間違いなく手続きは管理しないといけないことが増えるので、少しめんどくさいくなるだろうなという印象でした。

人事のイメージ

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みなさんは人事にどんなイメージを持っていますか?

「何となく怖い」

「何してるかわからない」

そんなイメージを持っている人が多いんじゃないでしょうか。

私が人事になる前は、確かにそれに近いイメージでした。

そもそも人事に触れ合うことがない、というか日常で人事的な出来事に出くわすことが無かったので、そもそも人事という概念があまりありませんでした。

もちろん採用とか、割とイメージしやすい業務は何となくわかっていたのですが、それが以外の部分が本当に未知の世界で。

そんな私が未知の世界に踏み入れて数年が経ちましたが、当初のイメージとのギャップを書いてみました。

 

人事部は怖い場所じゃない!

私の職場でもそうなんですが、みんな中々部屋に入ってきてくれないですね(笑)

私としてはどんどん話かけてほしいし、どんなにややこしい話でも相談してきてくれたら嬉しいです!

いや、ここでどれだけ弁解しようと、怖いものは怖いんだ!と言われそうですが。

一方で、「どうせ大した対応してくれないんでしょ」と思われている節もあります。これは我々の行ってきたツケだとも思ってます。

確かに要望通りに対応できなかったことも多々あります。相談してきた人にとったら深刻な問題なのに。

人事にとってのお客さんは従業員だと言いますが、そのスタンスで向き合っていきたいと思ってます。

だからみんなもっと来てください!

 

仕事もちゃんとしてるんです

人事業務は本当に多岐にわたるのですが、みなさんの割と身の回りのことも担当してるんです。

例えば家探しとか。保険のこととか。年金のこととか。慶弔とか。

もしかしたら企業によって総務がやってたりもしますが、そんなこともしてます。

 

メンタルに関すること

人事といえば当然、人に関する仕事をしているのですが、人の異動や評価、教育といったことばかりではありません。

人の心に関することも仕事なんです。

正直、人事に入るまでこういった業務もあるなんて全く知りませんでした。それは産業医精神科医の仕事だと思ってました。

もちろん、人事は専門家ではないので診察をするということはないのですが、そうなった原因の調査やその対策をしなければなりません。

かつ、センシティブな内容なのでかなり慎重に行動しなければなりません。

このあたりの内容はまた別途記事にしたいと思います。

とりあえずはこんな仕事もしていたんだ、ということだけでも分かってもらえればいいです。

 

 

…なんか今さらですが、あまりイメージを払拭できているような文章じゃないですね(汗)

 

事務的なことばかりしているのではなく、割と個人に密着した仕事もしているのです。

 

 

英語できる人が多い気がする。

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仕事柄、エントリーシートを毎年大量に見る機会があります。非常に書き込まれているシートやデザイン性の高いシート等、様々なシートを見ることができてちょっとした楽しみであります。

そんな中、あくまでも今はエントリーシート上だけの話になりますが、高スペック人材が非常に多い印象を受けます。

TOEIC高スコア保持者

ここは一番驚いている部分です。

公式の平均スコアや私の身の回りの人のスコア、世間一般的に昇格要件で定められている要件からすると、「700点」あれば英語が得意なんだな、という印象を持ちます。

就活で評価され始めるのは700点前後あたりだと周りで噂?されている人も多いのではないでしょうか。

実際に、個人的にもそんな認識です。

しかし最近、この辺の基準が狂わされてきています。「700点か。ふーん。」ってなりつつあるのです。

というのも、当たり前のように700点取得している人が多いのです。800点も決して珍しくない。900点もたまにいる。

すごくないですか?ちなみにですが、公式で公開しているスコアはこんな感じです。

公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧|TOEIC Listening & Reading Test 公式データ・資料|TOEIC Program|IIBC

純粋に平均スコアを本当の平均とみなすか、という議論は置いといて、目安の1つとしてください。

 

就活対策?

就活対策として、エントリーシートに書くために焦って受検する人もいるでしょう。(私もそうでした笑)

しかし、私はそれでも全く構わないと考えています。だって、焦って受検しようが、しゃあなしで受検しようが、それだけの実力があることは間違いないのですから。

きっかけなんて何でもいいんです。そんなことを面接で根掘り葉堀り聞くつもりもありません。

 

 

とにかく、英語ができる人が多いという話でした。

ちなみにですが、公式認定証の提出を求めたら困る人はでてくるかな?笑

 

そういえば、どっかの掲示板のネタ投稿で「TOEICのスコアは962点です」なんてものがありましたね。笑(点数は定かじゃないですが)

 

印象に残る人、そうでない人

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採用の季節の真っ只中ですね。

面接を受け始めた人、もう最終選考まで進んだ人、本命をまだ決めきれない人…など。

 

私は書類選考や採用面接をすることもあるのですが、(とは言っても偉くないので、初期段階の面接ですが笑)本当に色んな人が世の中にはいるんだな、ということを実感させられることがたくさんあります。

 

友人との繋がりを大切にしてきた方、部活やサークルの活動に命をかけてきた方、世界中を旅した方、企業した方など。

私自身の存在が超恥ずかしくなるほど、立派な方が多いです。

正直、「そんなに優秀なのに何でうちみたいな企業に応募してくれるんだ…」と思うことが多々あります。

まぁ、面接の練習で来る方もいるのですが、本当にうちの会社が好きなんだという方もいて本当にありがたい限りです。

そして、そういう人は簡単に見抜けます。ポイントはいくつもあるのですが、まず3点だけ。

 

中身が薄すぎる

特にエントリーシート。本当に受ける気あるの?と思うものがけっこうあります。1つだけ挙げるとしたら、文章量で判断します。スカスカだと、中身を読み込まずにお祈りBOXに入れます。

本当に受かりたいという熱意だあれば文章量は必然と多くなるはずです。もちろん量が多ければ良いというわけではないのですが、それでもスカスカより何倍もマシです。

とりあえずは質は置いといて、量はできるだけたくさん書いてください。

 

トーリーがありきたり

どんなエントリーシートにも自己PR欄や学生時代に頑張ってきたことを書く欄がありいますよね。上記でも書きましたが、本当に素晴らしい経験をされてきた方を目にすることがあります。

ただ、そういう人はやはり特殊で、そんなに多いというわけではありません。多くの方が普通の学生生活を送ってきています。(それが悪いということでは決してありません)

そんな普通の学生生活の中で、どんなことに力を入れてきたのか、その結果今の君はどんな人になったのか、そんなことを知りたいのです。

しかし悲しいかな、印象に残らない人が本当に多いです。

特にサークルメンバーを引っ張ってきた人バイト先の売り上げの伸ばした人が多いこと。

もちろん、これは悪いことではなく、むしろ素晴らしいことだと思います。何十人も所属している集団を引っ張ることなんて、能力的にも機会的にもかなり難しいことです。アルバイトでありながら売り上げの伸ばすその実力、素晴らしいです。

しかし、印象に残りません。埋もれてしまうからです。何枚ものエントリーシートを見るので、よっぽどのことが書いてないと光りません。

どうせ書くなら、一億円の利益をもたらしたくらい書いてください。(極端な例ですが。もちろん嘘を書いてもダメです。)

 

志望動機が見当違い

個人的にですが、志望動機を書くのが一番難しいと思います。ポイントは「その企業でしかできないことがしたい」ですが、その企業でしかできないことなんて、ほとんど無いと考えているからです。

Appleで人事がしたい」という人には、「何故、人事をするのにAppleでないとダメなのだ」と、もう一歩突っ込んで聞いてしまいます。

これが例えば開発だったら話が別です。iPhoneを作りたければAppleに入るしかありません。

しかし、「iPhoneが好きだからiPhoneを売る営業がしたい」という人には、「iPhoneが好きなら作るくらいの気持ち見せてよ」と思ってしまいます。

じゃあ文系は何て書いたらいいんだ!

その企業でしかできないことが少ないことなんて、百も承知です。そんなことはわかっていながら選考をしています。

そんな中でも、必死に企業研究をして、そこでしか出来ないことを見つけてください。そして、それを表現してください。

Appleで働く人のサポートを直接行うにはAppleに入るのが一番ですよね。Microsoftに行ってもしょうがないですよね。

 

 

 

以上、3つのポイントを挙げましたが、最低限ここはクリアしておいてほしいです。応募者自身のことを見る段階までに至りません。

 

あ、私はAppleの人事でもMicrosoftの人事でもありませんのでご承知おきください(笑)